1)釣用品市場とは
釣用品市場とは、釣用品を製造するメーカーから、それを扱う卸売り業者、販売する小売業者まで、釣用品に携わっている業界全般の市場のことを言う。釣用品と一言に言っても、竿・リール・釣糸・釣針・餌・うきといった主要なものから、クーラー・ウェア・履物・バッグ類、ボート等の派生的なものまで幅広い商品分野を持っている。
2)釣用品小売店における情報化
98年ごろ、故通商産業省中小企業庁情報処理振興事業協会が釣用品小売店向けの情報システムの開発を提案し、釣用品情報システム開発補助金事業が始まった。これは、釣具業界でメーカー、卸、小売店をネットワークで結び、受発注情報をやり取りする電子商取引に向けた取り組みである。
当時(社)日本釣用品工業会と、(株)翼システムが主となりシステムを開発し、開発補助金が交付された。又このシステムを購入する小売店にも補助金が交付された。一つの業界がまとまって電子商取引を進めるのは珍しいとして注目された。釣用品小売店は大半が資金力に乏しい中小企業のため、業界あげてシステムを構築し個別企業の費用負担軽減を狙った。
翼システムにお話を伺ったところ、釣り用品は取り扱い商品が約50万種類、300万アイテムあり、三分の一の100万アイテムが常時流通している。
街の釣具屋でも5000から6000アイテムほど取り扱っており、従来はこれらの受発注を電話やFAXで行っていたそうだ。
今回開発された「釣具小売店情報システム 釣名人」では、(社)日本釣用品工業会内に、業界で一元化した商品データベース(コードセンター)を設置し、メーカーが商品名、品番、希望小売価格などを登録し、新製品情報などを卸や小売店がネットワークから引き出せるようになっている。
「釣名人」によって商品管理、加えて顧客管理が容易化され、新鋭、中小の釣具小売チェーンでは情報システム化が進んだが、個人経営の小規模な小売店においては店主が高齢でパソコンに対して嫌悪感があるなどの理由から普及が遅れているようだ。また、最も大規模なチェーンである上州屋においては店舗数が多いため、現在本部がその投資額の大きさから導入をためらっているようである。(2003年当時)
こういった情報化においてはレジメーカー等も小売店に対して提案を行っているが、日本釣用品工業会やメーカー、卸各社とのつながりが強いことから商品の受発注、管理や、面倒な商品登録業務を大幅に削減できるといった点で翼システムが有利に展開しているようである。
3)釣用品の流通経路
釣用品の流通経路は、大きく以下の①~⑤の5タイプに分けられる。
①のタイプ
主に事業規模の大きなサプライヤーがこのタイプの流通経路をとっている。営業所を配置して、自社社員が直接小売店を訪問販売する営業体制である。近年はこのタイプの流通体制をとる企業が増えている。
②③のタイプ
系列の販売会社を配置して、製造と販売を別会社体制としている。卸売業者に流通をまかせている部分もある。
④⑤のタイプ
ほとんどの企業がこのタイプの流通体制をとっている。近年はこのタイプから①②⑥の直接販売するタイプへの移行も見られる。
⑥のタイプ
サプライヤーが直接消費者に販売する場合で、通信販売またはインターネット販売の形態である。
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